前回の記事では、環境負荷を削減する夢のオイル「藻類オイル」について、その魅力や製造プロセス、最新の研究成果、そして課題について詳しく解説しました。
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今回は、藻類オイルが秘めるさらなる可能性、なんと深刻な環境問題であるプラスチックごみの削減にも貢献できるという驚きの情報をご紹介します!
藻類オイルとプラスチックごみ削減の以外な関係
「藻類オイルがどうしてプラスチックごみ削減に繋がるの?」そう思われた方もいるかもしれません。実は、藻類オイルはエネルギー源としてだけでなく、バイオプラスチックの原料にもなり得るのです。
バイオプラスチックとは?
バイオプラスチックとは、植物由来の資源や微生物の生産する物質を原料としたプラスチックのことです。従来の石油由来のプラスチックと比べて、以下のようなメリットがあります。
・原料が再生可能資源である
植物は光合成によって二酸化炭素を吸収して成長するため、バイオプラスチックの原料は枯渇しにくい持続可能な資源と言えます。
・生分解性を持つものもある
特定の条件下で微生物によって分解されるバイオプラスチックは、自然環境への負荷を低減する可能性があります。
藻類オイルがバイオプラスチックの原料になる仕組み
藻類の中には、油脂だけでなく、炭水化物などの様々な有機物を蓄積するものがあります。これらの炭水化物を微生物によって発酵させることで、ポリ乳酸(PLA)などのバイオプラスチックの原料となる物質を生成できるのです。
また、藻類オイル自体を化学的に変換することで、ポリウレタンなどのバイオプラスチックの原料として利用する研究も進められています。
藻類由来バイオプラスチックのメリット
藻類を原料としたバイオプラスチックには、以下のようなメリットが期待されます。
・食料との競合が少ない
陸上植物を原料とするバイオプラスチックの場合、食料生産のための土地と競合する可能性がありますが、藻類は多様な環境で培養できるため、そのような心配が少ないと考えられます。
・二酸化炭素の吸収
藻類の培養過程で二酸化炭素を吸収するため、バイオプラスチックの製造過程全体でのカーボンフットプリントを低減できる可能性があります。
【用語の解説】カーボンフットプリントとは、ある製品や活動によって排出される二酸化炭素(CO₂)の量のことです。これにより、私たちの生活や産業がどれくらい環境に影響を与えているのかを測ることができます。
簡単な例
・自動車を使う➡ガソリンを燃焼しCO₂を排出➡カーボンフットプリント増加
・電気を使う➡発電所で化石燃料を燃やすとCO₂が発生➡カーボンフットプリント増加
・リサイクルをする➡新しく原料を作るよりCO₂排出がする少ない➡カーボンフットプリント減少
・海洋プラスチック問題への貢献
将来的に、海洋で分解可能な藻類由来のバイオプラスチックが実用されれば、深刻な海洋プラスチックの解決に貢献できるかもしれません。
藻類オイルとバイオプラスチックの未来
藻類オイルは、持続可能なエネルギー源としてだけでなく、バイオプラスチックの原料としての可能性を秘めており、私たちの社会が抱えるエネルギー問題とプラスチックごみ問題の両方に貢献できるポテンシャルを持っています。
もちろん、藻類由来のプラスチックもまだ研究開発段階であり、コストや生産効率などの課題を克服する必要があります。しかし、技術革新が進むにつれて、藻類が私たちの生活の中でより重要な役割を果たすい日が来るかもしれません。
藻類オイルとバイオプラスチック。この二つのキーワードが、より持続可能な社会の実現に貢献する未来に、私たちは大きな期待を寄せているのです。