「冷たい肉より、常温の肉の方が早く焼けるのはなぜ?」
「洗剤を入れると、しつこい汚れがスッと落ちるのはどうして?」
これらの疑問に答えてくれるのが、「化学反応速度論(かがくはんのうそくどろん)」という学問です。難しそうな名前ですが、中身はとってもシンプル。
今回は、この「反応のスピード」を決めるルールと、魔法のショートカット「触媒・酵素」について解説します!
1.反応のスピードを決める「4つの条件」
化学反応とは、分子同士がガツンとぶつかって、新しい形に変わること。そのスピードを上げるには、4つのコツがあります。
1. 濃さを上げる(濃度)
人が多い交差点ほどぶつかりやすいのと同じ。成分が濃いほど、分子同士が衝突して反応するチャンスが増えます。
2. 温度を上げる(温度)
お湯の方が汚れが落ちやすいのは、分子が激しく動き回って、ぶつかる勢いが増すからです。
3. 細かくする(表面積)
大きな氷より、かき氷の方が早くとけますよね。反応できる「面積」を広げるとスピードアップします。
4. 近道を作る(触媒)
これが一番の裏技。エネルギーの壁を低くする「助っ人」を投入する方法です。
2.「触媒(しょくばい)」は魔法のショートカット
反応を進める最強の助っ人、それが「触媒」です。
化学反応が起きるには、高い山(エネルギーの壁)を越えなければなりません。自力で登るのは大変ですが、触媒は「トンネル(近道)」を掘ってくれます。
自分は減らない
トンネルを作っても、触媒自体は変化しません。何度でも使い回せるのが特徴です。
例)車の排ガス浄化
車のマフラーにはプラチナなどの触媒が入っていて、有毒なガスを瞬時に無害ガスに変えています。
3. 体の中のスペシャリスト「酵素(こうそ)」
私たちの体の中で「触媒」として働いているのが「酵素」です。
酵素はタンパク質で出来ていて、「特定の相手としか遊ばない」という、こだわり派のスペシャリスト。これを「鍵と鍵穴の関係」と呼びます。
主な消化酵素の例
アミラーゼ
ご飯(デンプン)を甘い糖に変える。
ペプシン
お肉(タンパク質)をバラバラに分解する。
酵素がいなければ、私たちが食べたものを消化するのに何年もかかってしまいます。まさに命のサポーターですね。
4. 酵素にも「弱点」がある?
最強の酵素ですが、実はとてもデリケートです。
l 熱に弱い
体温くらいの温度(35~40度)が大好き。熱を出しすぎると形が変わって動けなくなります。
酸っぱさに敏感
胃の中が好きな酵素もいれば、腸の中が好きな酵素もいます。
「酵素ドリンク」や「酵素サプリ」が注目されていますが、実は胃に入ると分解されてしまうことも多いため、選び方にはちょっとコツが必要なんです。
まとめ:世界は「スピード」でできている
化学反応速度論を知ると、世界の中の見え方が変わります。
- 料理
火力を強めるのは、分子のスピードを上げるため。
- 掃除
洗剤の酵素は、汚れを分解するトンネルを作るため。
- 健康
体調を整えるのは、酵素が働きやすい環境を作るため。
次にキッチンに立つときは、ぜひ「今、分子たちがトンネルを通っているな…」と想像してみてくださいね!

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